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最先端の治療法

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最先端の治療法をご紹介いたします。

肝臓がんの治療法

肝臓がんには、大きく分けて、肝臓から発生する「原発性肝がん」と、肝臓に他の場所から転移してくる「転移性肝がん」とがあります。ここでは原発性肝がんについてご説明します。
治療法としては外科的切除、内科的治療(肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法、抗がん剤治療、分子標的薬)、放射線治療などがあり、治療ガイドラインに則って各治療法を選択することになります。代表的な治療方法を説明します。

●肝動脈塞栓術

まずは血管造影検査を行います。肝臓の動脈は大動脈から枝分かれして出ていますが、より細かく把握するために、造影剤という薬を動脈の中に注入しながらレントゲン写真を撮ります。
検査では、まず最初に足の付け根の動脈(大腿動脈)周囲に局所麻酔をして、そこから細い管(カテーテル)を肝臓の動脈まで入れていくことから始まります。造影剤を使った血管造影の写真を参考にしてさらにカテーテルを肝臓の動脈の奥まで進めていきます。 目的とするがんのすぐ近くまでカテーテルが挿入できたら、そこから腫瘍を固める薬(リピオドールという油性造影剤と抗がん剤を混ぜたもの)や、腫瘍に栄養を運んでいる動脈を塞いでしまう薬(スポンゼルという止血剤を細かく切ったもの)で塞いでしまいます。つまり、がんに栄養が行かないように「兵糧責め」にしてしまう治療法です。

肝動脈塞栓術 写真1

なぜこのような治療が可能かといいますと、がんと正常の肝臓では血流の流れが異なるからです。肝細胞がんは肝臓の「動脈」から栄養を受けることがほとんどですが、その他の正常な肝臓は動脈からでなく、腸から吸収された物質を血液にのせて肝臓に運ぶ「門脈」という血管で主に栄養されています。したがって、動脈を塞ぐと肝細胞がんは死んでしまいますが、肝臓の正常な部分は門脈に栄養されているためダメージを受けません。

肝動脈塞栓術 図1

この治療の副作用としては腹痛、発熱などがあります。これは血管を塞ぐ薬を入れている時、みぞおちに痛みやはる感じ、薬を入れる部位によっては肩から首に痛みを感じるであったり、治療が良く効いてがんが死んでいく過程で痛みを感じることがあります。薬を入れる前に痛み止めの薬を注射したり、動脈から局所麻酔薬を入れるなどして、できるだけ痛みが軽くなるようにします。術後にも痛み止めで対応しますが、時間とともに徐々に改善していきます。また、感染を予防するため抗生剤を数日投与します。薬の効き目、あるいは薬の集まり具合によっては、追加治療が必要になることもあります。

追加治療が必要と判断される場合には、動脈塞栓術を選択するか、他の治療法に切り替えるかは肝機能や肝細胞がんの状態を考慮しながら判断していきます。

肝動脈塞栓術の利点

●ラジオ波焼灼療法

ラジオ波焼灼療法超音波で体の内部を見ながら皮膚を通して肝細胞がんに細い針を刺し、その針から発生させるラジオ波を用いて熱を発生して焼いてしまう方法です。
この方法は、全身麻酔ではなく局所麻酔で治療を行うことができ(もちろん鎮痛剤、鎮静剤を使用しますが)、治療の翌日から食事や歩行も可能で、からだに負担の少ない治療法です。また肝細胞がんを集中的に治療するため、正常な肝臓に与えるダメージを最小限にすることができます。入院期間は約5日程度です。

●肝動注化学療法

抗がん剤を肝臓の動脈から直接投与する方法です。「がん」が体の一部分に限局している場合、「がん」は動脈から栄養されていますので、静脈から全身に抗がん剤を投与するのに比べて、何倍もの濃い抗がん剤が作用させることができます。また、全身に流れる抗がん剤の量が少なくなりますから、副作用が少なくてすむことが期待できます。

なかでも、治療が継続して行えるように肝臓の動脈に細いカテーテルをおいてきて、ポートという小さな器具とつないで皮膚の下に埋め込み、ポートに針で刺すことによって薬を肝臓に注入する方法(リザーバー動注療法)もあります。ポートは、足の付け根または鎖骨へ留置します。この方法ですと、皮膚の上から「ポート」に針を刺すだけで、血管造影と同様にカテーテルを通して肝臓に直接抗がん剤を投与することができます。また、一回に投与していた量を何回にも分けて少量ずつ投与することもできます。
肝動注化学療法抗がん剤を投与している間も、自由に動くことができますし、投与が終われば針は抜きますので、激しい運動をしない限りは生活に制限がなく、傷が治ればお風呂も入れます。大きな特徴は、外来通院でも動注化学療法を受けることができることです。

●連絡先

大久保病院
〒770-0923 徳島県徳島市大道2丁目30

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