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徳島県の肝臓疾患の現状

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徳島県は、肝臓疾患死亡率ワースト1

肝細胞癌は、発癌のハイリスクグループの多くがウイルス肝炎を背景にもつことが分かっています。多くの報告では肝細胞癌の約80%がC型肝炎、約10%がB型肝炎を背景にもっていると言われています。これらのハイリスクグループでは超音波造影剤、造影CT、造影MRI(EOB)など各種画像診断の進歩、各種腫瘍マーカー(α-フェトプロテイン:AFP、AFP-L3分画、PIVKA-2)により早期に肝細胞癌を診断することも十分可能となってきています。しかし徳島県における肝疾患死亡率は全国でワースト1位(2010年)であり、進歩した医療技術が臨床の現場で十分反映されていない、あるいは患者さん自身が肝炎ウイルスに罹患していることに気がついていない可能性が考えられます。肝炎ウイルス(B型、C型)は血液検査で容易に診断でき、将来的に新規感染する可能性が低いことから少なくとも一生に一度検査を受ければ十分である場合が多いと考えられます。
現在では肝炎ウイルス治療は目覚しい進歩を遂げています。毎年改定される肝炎治療ガイドラインでC型肝炎に対する3剤併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビル)が平成23年末より1型高ウイルス量の症例に対して保険適応となり治療効果の更なる向上が国内外から報告されています。またB型肝炎に対してもペグインターフェロンの保険が適応となり比較的若い症例の治療効果改善が期待されています。また従来のエンテカビルという核酸アナログ製剤も良好な治療効果が得られています。
また肝細胞癌の治療では外科的切除に加え、最近では内科的治療である経皮的ラジオ波焼灼療法、カテーテルを利用した肝動脈塞栓術などの身体の負担が少ない治療が注目を浴びています。

糖尿病と肝疾患の合併

これに加えて最近ではメタボリック症候群とくに糖尿病での肝疾患の合併が話題となっています。実は徳島県は肝疾患と並び糖尿病での死亡率も全国ワースト1位です。糖尿病の死因調査のアンケート調査方式で,全国282施設から18,385名が集計され,1991∼2000年の10年間における日本人糖尿病患者の死因が分析されていますが、全症例の死因第1位は悪性新生物の34.1%であり,第2位は血管障害(糖尿病性腎症,虚血性心疾患,脳血管障害)の26.8%, 第3位は感染症の14.3%で,糖尿病性昏睡は1.2%でした。とくに悪性新生物の中では肝臓癌が8.6%と最も高率で重大な疾患と考えられます。
徳島県ではこれらの肝炎ウイルスや糖尿病によって肝疾患死亡率が高いことが推察されます。これからさらに増加するであろう糖尿病に代表されるメタボリック症候群によってさらに肝臓疾患が増加することも考えられますが、肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように自覚症状がなく、血液検査で肝機能異常を早期発見することが重要です。とくに肝硬変などの進行例では3カ月毎の超音波検査などの画像診断を含めた経過観察が肝細胞癌の早期発見にきわめて重要だと考えられ、検診やたまたま他の検査で肝機能異常を指摘された場合には詳しい検査が必要と思われます。

徳島新聞記事より 徳島県健康増進課資料より

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